夜間は視界が悪く、周囲の人目も少なくなるため、空き巣や忍び込みといった侵入犯罪が起きやすい時間帯です。「しっかり鍵をかけているから大丈夫」と思っていても、実際には窓の閉め忘れや生活習慣の隙を突かれて被害に遭うケースは少なくありません。
特に就寝中や留守中は自分で異変に気づきにくく、被害が発覚するまでに時間がかかることも多いです。この記事では、夜間の侵入被害がなぜ起きるのかという背景から、就寝中・留守中にできる具体的な防犯対策、侵入リスクを下げる生活習慣、万が一侵入された場合の対処法まで、わかりやすく解説します。今日から実践できる対策ばかりですので、ぜひ参考にしてください。
夜間の侵入被害はなぜ起きる?最新の発生傾向

夜間の侵入犯罪には、手口・時間帯・ターゲットの選び方にそれぞれ共通したパターンがあります。まずは被害の実態を正しく理解することが、効果的な対策を立てるための第一歩です。ここでは犯罪の種類の違い、よく狙われる時間帯と侵入経路、そして狙われやすい家庭の特徴を解説します。
忍び込み・空き巣・居空きの違い
夜間の侵入犯罪は、大きく3種類に分けられます。「空き巣」は住人が不在の間に侵入する手口です。「忍び込み」は住人が就寝中に侵入するもので、顔を見られるリスクがある分、犯人は物音を立てないよう細心の注意を払います。「忍び込みの定義(大阪府警)」「居空き」は住人が在宅していても、玄関先や庭先など別の場所にいる隙を狙って侵入する手口です。
この3つの中で夜間に特に多いのが「忍び込み」です。住人が寝静まった深夜帯を狙うため、被害に気づくのが翌朝になることも多く、犯人の逃走を許してしまいやすい点が問題です。
忍び込みが多い時間帯と侵入経路
忍び込み被害が最も多いのは、深夜0時から早朝4時にかけての時間帯です。住人が熟睡している可能性が高く、近隣住民も就寝していて助けを求めにくい状況が犯人にとって好都合になります。
侵入経路として最も多いのは「窓」です。鍵のかかっていない窓はもちろん、鍵がかかっていてもガラスを割って解錠する手口も多く見られます。「侵入口はここだ(窓が最多)」次いで多いのが「玄関」で、ピッキングやサムターン回しと呼ばれる解錠ツールを使った侵入が報告されています。表通りから見えにくい勝手口や小窓も、侵入経路として狙われやすいポイントです。
夜間に狙われやすい家庭の特徴
犯罪者は下見を行い、侵入しやすい家庭を選んで狙います。狙われやすい家庭の特徴として、まず「外灯や庭の照明が暗い・ない」ことが挙げられます。暗い環境は犯行の発覚リスクを下げるため、犯人にとって都合がよいのです。
次に「植栽や塀で外から見えにくい構造」も侵入を助けます。また、「換気のために窓を少し開けたまま就寝している」「補助錠がついていない」「防犯カメラやステッカーがない」といった対策の甘さも、狙われやすさに直結します。自宅がこれらの条件に当てはまっていないか、一度見直してみることが大切です。
就寝中にできる侵入防止対策

就寝中は自分で異変に気づきにくいため、侵入される前に「入れない・入りにくい」環境を整えておくことが最大の対策です。施錠の徹底・在宅アピールの工夫・窓からの侵入を防ぐ設備の3つを組み合わせることで、夜間の防犯レベルを大幅に高められます。
施錠を徹底する基本対策
侵入犯罪の多くは、施錠が不十分な場所から侵入しています。まず取り組むべきは、玄関・窓のすべてに対して確実に鍵をかける習慣を身につけることです。二重ロックや就寝前のチェックリストを活用することで、閉め忘れをなくす仕組みをつくりましょう。
玄関・窓の二重ロック
玄関のドアに補助錠を追加して「二重ロック」にすることは、ピッキングやサムターン回しによる不正解錠への有効な対策です。鍵が2つあると解錠に時間がかかるため、犯人が侵入をあきらめる可能性が高まります。
窓についても同様に補助錠の取り付けが効果的です。特に1階の窓や、足場となる場所に近い2階の窓は優先的に対策しましょう。100円均一や防犯用品店で購入できる簡易補助錠でも、一定の効果が期待できます。
就寝前チェックリストの活用
「鍵をかけたつもりだった」という閉め忘れを防ぐために、就寝前に確認する項目をリスト化しておくことをおすすめします。玄関・勝手口・すべての窓・シャッターといった確認ポイントを書き出し、毎晩チェックする習慣をつけましょう。
リストは紙に書いて玄関や寝室の扉に貼っておくと、確認を習慣化しやすくなります。家族がいる場合は当番制にするなど、全員で取り組む仕組みをつくることも大切です。
「在宅アピール」で侵入を防ぐ工夫
侵入犯は「誰かがいると思われる家」を避ける傾向があります。就寝中でも「家に人がいる」と感じさせる工夫をすることで、犯人が侵入をためらう効果が期待できます。照明の使い方と遠隔操作機能の活用が、在宅アピールの中心的な手段です。
室内灯・玄関灯の効果的な使い方
就寝中も玄関灯を点けておくことは、外から見て「誰かいる」という印象を与える基本的な対策です。真っ暗な家は留守・就寝中と判断されやすいため、一部の室内灯を点けたまま眠る習慣も効果的です。
テレビの音や生活音が外に漏れることも、在宅を印象づける効果があります。防犯グッズとして市販されている「在宅シミュレーター」(照明を自動でランダム点滅させる機器)も、留守中や就寝中の在宅アピールに役立ちます。
遠隔操作できる照明の活用
スマートフォンから遠隔操作できるスマート電球や照明システムを活用すると、外出先や就寝後でも照明のオン・オフをコントロールできます。タイマー設定でランダムに照明を点灯させることで、生活感を演出できます。
スマートスピーカーと連携させることで、音声操作も可能になります。初期費用は数千円程度から導入でき、手軽に始められる対策のひとつです。
窓からの侵入を防ぐ対策
侵入経路として最も多い窓への対策は、防犯の観点から最優先で取り組むべき課題です。防犯フィルムや防犯ガラスによるガラス破り対策と、補助錠による解錠防止を組み合わせることで、窓からの侵入を大幅に困難にできます。
防犯フィルム・防犯ガラスの設置
防犯フィルムは窓ガラスに貼ることでガラスが割れにくくなり、仮に割れても飛散を防いで穴が開きにくくなる効果があります。フィルムの厚さが増すほど耐貫通性が高まり、侵入に時間がかかるため犯人の抑止につながります。
防犯ガラスはフィルムより高い強度を持ち、中間膜が入っているため破壊に非常な時間と労力を要します。コストは高めですが、長期的な安心感と防犯効果は大きいです。特に1階の窓や人目の少ない場所の窓への導入をおすすめします。
補助錠の取り付け
窓の補助錠は、既存のクレセント錠(窓の鍵)に加えて取り付けることで、ガラスを割らずに鍵を開けようとする手口を防ぎます。ネジ止めタイプや挟み込みタイプなど、取り付け工事不要のものも多く、賃貸住宅でも導入しやすい点がメリットです。
引き違い窓には「サッシ錠」や「ピン錠」を、開き窓には「窓用補助錠」を設置しましょう。価格は1個あたり数百円〜数千円程度で入手できるため、コストパフォーマンスの高い対策です。
留守中に実践したい防犯対策

外出中や長期不在の際は、家に誰もいないことを悟られないようにすることが最も重要です。敷地周辺の物理的な対策・防犯カメラやセンサーの活用・長期不在時の細かいポイントを押さえることで、留守中の侵入リスクを大幅に低減できます。
外構・敷地周辺の工夫
敷地の外周に侵入を難しくする仕掛けを施すことで、犯人が「侵入しにくい家」と判断して立ち去る効果が期待できます。防犯砂利やセンサーライトによる物音・光での威嚇と、足場となる物の除去を組み合わせることが基本的なアプローチです。
防犯砂利やセンサーライトの設置
防犯砂利は、踏むと大きな音が出る砂利で、庭や通路に敷くだけで侵入者への警告効果があります。工事不要で自分でも設置でき、コストも比較的安価です。特に建物の裏側や勝手口周辺など、人目の届きにくいエリアへの設置が効果的です。
センサーライトは人の動きを感知して自動点灯するため、夜間の侵入者に対して強い心理的プレッシャーを与えます。暗くなりやすい玄関脇・駐車場・庭の隅に設置することで、死角をなくす効果があります。
足場になる物を片付ける
エアコンの室外機・自転車・脚立・植木鉢・物置など、家の周囲にある物が侵入者の足場として利用されるケースがあります。特に2階の窓に近い場所に背の高い物が置かれている場合は、速やかに移動または固定しましょう。
外出前には庭やベランダ周辺を一度見渡し、足場になりそうな物がないかを確認する習慣をつけることをおすすめします。物を減らすことは、防犯だけでなく整理整頓にもつながる一石二鳥の取り組みです。
防犯カメラ・センサーの活用
防犯カメラやセンサー機器の設置は、侵入の抑止と被害発生時の証拠確保の両面で非常に効果的です。家庭用の防犯カメラは手頃な価格で導入できるようになっており、センサーアラームと組み合わせることでより高い防犯レベルを実現できます。
家庭用防犯カメラ
家庭用防犯カメラはWi-Fiに接続することで、外出先からスマートフォンでリアルタイム映像を確認できる製品が普及しています。玄関・駐車場・裏口といった侵入経路となりやすい場所への設置が効果的です。
カメラの存在自体が犯罪抑止の効果を持つため、「防犯カメラ作動中」の表示ステッカーを合わせて掲示することをおすすめします。録画データはクラウドに保存するタイプを選ぶと、機器ごと盗まれても証拠が消えないため安心です。
人感センサー・侵入検知アラーム
人感センサーは、敷地内に人が近づいたり侵入したりした際に音や光で知らせる機器です。スマートフォンへのプッシュ通知と連動するタイプを選ぶと、外出先でもリアルタイムに異常を把握できます。
侵入検知アラームは窓やドアの開閉を感知して警告音を発するもので、大きな音が犯人を驚かせて逃走させる効果があります。工事不要の貼り付けタイプも多く、賃貸住宅でも導入しやすい防犯アイテムです。
長期不在時の対策ポイント
旅行や出張などで数日以上家を空ける際は、普段の外出時以上に細かい対策が必要です。郵便物の管理と近隣への声かけは、長期不在時に特に見落とされがちな重要ポイントです。
郵便物の管理
郵便受けに郵便物や新聞が溜まっていると、長期不在であることが外から一目でわかり、空き巣の格好のターゲットになります。長期不在の際は、郵便局への「不在届」を提出して郵便物の保管を依頼しましょう。
新聞を購読している場合は、販売店へ一時停止の連絡を入れることが重要です。宅配ボックスがない場合は、信頼できる近隣の方に荷物の受け取りを依頼するか、不在時に配達が来ないよう事前にオンラインで配送日を調整することも有効です。
近隣への声かけ
「しばらく留守にします」と近隣の方に一言声をかけておくことは、非常に効果的な防犯対策のひとつです。地域の目が自宅に向くことで、不審者への監視効果が生まれます。
普段からご近所との関係を良好に保っておくことで、いざというときに声をかけてもらいやすくなります。地域の防犯活動や見守りネットワークへの参加も、長期的な防犯力の向上につながる取り組みです。
侵入リスクを下げる生活習慣

防犯設備を整えることと同じくらい重要なのが、日々の生活習慣の見直しです。何気なく続けている行動が、侵入犯に「侵入しやすい家」と判断されるヒントを与えていることがあります。ここでは、日常の中で実践できる3つの習慣を紹介します。
夜間も換気口・小窓を油断しない
「換気のためにほんの少し窓を開けたまま寝る」という習慣は、非常に危険です。小さな隙間でも、工具を使ってクレセント錠を解錠されるケースがあります。夜間の換気は、窓を完全に閉めて鍵をかけたうえで、換気扇や空気清浄機を活用することをおすすめします。
どうしても窓を開けて換気したい場合は、開閉幅を制限するストッパーや、窓が一定以上開かないように固定する補助具を使いましょう。換気口やガラリ(通気口)も定期的に確認し、手が入らない構造になっているかをチェックしてください。
SNS投稿で不在を知らせない
旅行や外出の様子をリアルタイムでSNSに投稿することは、「今この家は空き家」と広く知らせているのと同じです。特に位置情報が含まれた投稿や、「〇日まで旅行中」というような不在期間を具体的に示す内容は、空き巣に狙われるリスクを高めます。
旅行の写真や体験は、帰宅してから投稿することを習慣にしましょう。また、SNSのフォロワーや友達リストに見知らぬ人が含まれていないかを定期的に確認し、プライバシー設定を見直すことも重要です。
家族で共有する防犯ルール
防犯対策は一人だけが気をつけていても意味がありません。家族全員が同じルールを理解し、実践することが重要です。「外出前に全窓の施錠を確認する」「帰宅時に不審な人物がいないか確認してから鍵を開ける」「鍵は必ず決まった場所に保管する」といったルールを家族で決めて共有しましょう。
子どもがいる家庭では、年齢に合わせた防犯の話をすることも大切です。「知らない人が家に来たらどうするか」「不審者を見かけたときの行動」など、具体的なシナリオで話し合うことで、子どもの防犯意識を高めることができます。
それでも侵入されたら?身を守る行動

どれだけ対策を講じても、被害がゼロになるとは限りません。万が一侵入者に気づいた場合や、被害に遭った後にどう行動するかを事前に知っておくことが、身の安全を守るうえで非常に重要です。
犯人と対峙しないことが最優先
就寝中に物音や気配に気づいた際、絶対にやってはいけないのが「一人で犯人に立ち向かう」ことです。侵入犯が凶器を持っている可能性があり、対峙することで命の危険が生じます。物が盗まれても命には替えられません。
まずは静かに身を隠し、家族がいる場合は小声で状況を伝えましょう。寝室の扉に鍵がかかる場合は施錠し、物理的に距離を取ることを最優先にしてください。
すぐに通報・避難する
安全を確保できたら、すぐに110番(警察)に通報しましょう。通報の際は「住所・侵入者の状況・自分の現在地」を落ち着いて伝えてください。声が出せない状況では、スマートフォンのSOS機能を活用することも有効です。
避難できる状況であれば、玄関や窓から外に出て近隣に助けを求めましょう。「助けてください」と声を出すことで、近所の方や通行人が110番通報してくれるケースもあります。非常用の笛やホイッスルをベッドサイドに置いておくと、緊急時に役立ちます。
事後対応と再発防止策
被害が発生した後は、警察への被害届の提出・保険会社への連絡・鍵や錠前の交換を速やかに行いましょう。被害現場の状況は証拠として重要なため、警察が到着するまでは現場に手を触れないようにしてください。
再発防止のためには、侵入された経路や原因を警察に確認したうえで、弱点となっていた箇所を重点的に強化することが重要です。被害体験を通じて見えた自宅の防犯の穴を、この機会に徹底的に見直しましょう。
まとめ

夜間の侵入犯罪を防ぐためには、一つの対策だけに頼らず、複数の手段を組み合わせることが重要です。施錠の徹底・在宅アピール・窓の強化・防犯カメラの設置・生活習慣の見直しを組み合わせることで、「侵入しにくい家」という環境を作り上げることができます。
犯罪者は侵入に時間がかかる家・人目につきやすい家・対策が整っている家を避ける傾向があります。完璧な防犯はなくても、「ここは面倒だ」と思わせることが最大の抑止力です。まずは今日から、就寝前の施錠確認と補助錠の取り付けといった、手軽にできる対策から始めてみましょう。家族全員で防犯意識を共有し、安心して眠れる環境を整えることが何より大切です。
