冬の寒さの中で、家の中を暖かく保つためにエアコンを頼りにしている方も多いでしょう。しかし、エアコンの暖房が何度も止まってしまうと、快適な室温を保つことが困難になります。この問題の主な原因の一つが「霜取り運転」です。この記事では、エアコンがなぜ止まるのか、それにどう対処すればよいのかを、わかりやすく解説していきます。
暖房が急に止まる原因のひとつ「霜取り運転」
エアコンが予期せずに停止する現象は、多くの場合、霜取り運転が関係しています。このセクションでは、霜取り運転の基本的な情報と、それがどのように作動するかをお伝えします。
霜取り運転とは
寒冷地でのエアコン使用中、外気の冷たさにより室外機の熱交換器に霜が付着することがあります。この霜が厚くなると、熱交換器の効率が大幅に低下し、エアコンの暖房能力が損なわれます。霜取り運転は、このように形成された霜を自動的に溶かすために設計されています。

運転中、エアコンは一時的に冷房モードに切り替わり、冷媒を逆流させて室外機のコイルを温め、そこに付着した霜を溶かします。このプロセス中、室内に送られる空気は一時的に冷たくなるか、あるいは送風が停止されるため、室内の温度が少し下がることがあります。
霜取り運転の周期は通常、エアコンの使用環境やモデルによって異なりますが、一般的には数時間に一度自動的に行われます。ユーザーは特にこの運転を制御する必要はなく、最新のエアコンではさらに効率的で知能的な霜取り機能が搭載されており、外気温や湿度などの条件に基づいて自動的に運転のタイミングを調整しています。
理解しやすく言えば、霜取り運転はエアコンが自身を「セルフメンテナンス」する方法であり、これにより一年中、特に寒い季節においても、最高のパフォーマンスを維持することができるのです。

霜取り運転中か確認するには?
霜取り運転が行われているかどうかは、エアコンの表示や室外機の様子を見ることで判断できます。多くのエアコンでは、霜取り運転中に特定のランプが点灯したり、画面にアイコンが表示されたりします。また、室外機のファンが停止しているときも、霜取り運転が行われている可能性が高いです。このようにしてエアコンが正常に機能しているかをチェックできます。

霜取り運転の回数を減らす対策
霜取り運転はエアコンの暖房効率を維持するために必要ですが、その頻度が高いと暖房効果が低下し、エネルギー効率も悪化します。効率的にエアコンを使用するためには、霜取り運転の回数を抑えることが望ましいです。ここでは、そのためのいくつかの具体的な対策を詳細に解説します。
設定温度を低くする
エアコンの設定温度を無理に高く設定すると、エアコンは頻繁に高いパワーで運転を続け、霜の形成を促進させます。室温との差を少なくすることで、室外機への負担を減らし、霜の形成を抑制することが可能です。例えば、外気温が非常に低い日には、室温を20~22度程度に保つことが一般的に効果的です。この温度設定により、室内は十分に暖かく保たれ、エアコンの過剰な運転を防ぐことができます。
こまめにフィルター掃除をする
エアコンのフィルターが詰まっていると、空気の流れが悪くなり、室外機が冷えすぎてしまい、霜がつきやすくなります。フィルターを定期的に掃除することで、空気の流れをスムーズに保ち、室外機の効率を最適化します。フィルターの掃除は、少なくとも月に1回は行うことをお勧めします。これにより、エアコン全体の性能維持にも寄与し、冬場の快適な暖房を実現します。

雪の多い場所では室外機はできるだけ高い位置に設置する
雪が多く降る地域では、室外機が雪に埋もれると霜取り運転が頻繁になりがちです。室外機を雪が積もりにくい高い位置に設置することで、霜の蓄積を防ぎ、霜取り運転の頻度を減らすことができます。可能であれば、室外機の周囲には十分なスペースを確保し、雪除けのカバーを設けることも有効です。

部屋の広さに対して少し大きめのエアコンを使う
部屋の広さに見合ったエアコンを選ぶことは、エアコンの効率的な運用に非常に重要です。余裕を持った容量のエアコンを選ぶことで、機器が全力運転することなく、快適な室温を保つことができます。適切なサイズのエアコンを選ぶことで、室外機の霜の蓄積を防ぎ、霜取り運転の必要性を最小限に抑えることが可能です。適切なエアコン選びは、専門家と相談することも一つの方法です。
やってはいけない対策
霜取り運転の回数を減らすためには有効な手段がありますが、逆にエアコンに損害を与えてしまう行為もあります。ここでは、霜取り運転に関連してしばしば行われがちながら、避けるべき対策についてご説明します。
室外機にお湯をかける
一見、室外機にお湯をかけることで霜を迅速に溶かすことができ、効率的に思えるかもしれません。しかし、これは室外機に急激な温度変化をもたらし、内部部品を破損させる原因になります。特に、温度差が原因で金属が収縮し、その結果、漏電や故障のリスクが高まります。したがって、この方法は絶対に避けるべきです。

室外機に風除けをする
風除けを設けることで室外機を保護しようとする試みは、実は室外機の効率を下げることにつながります。室外機は周囲の空気を効果的に循環させる必要があり、風除けがあるとこの空気の流れが妨げられます。これにより、機械が過剰に働き、エネルギー消費が増加するだけでなく、故障のリスクも高まります。
エアコンで効率よく部屋を暖めるには?
エアコンを使用して部屋を暖める際、いくつかの工夫をすることで、より効率的に暖かさを保つことができます。以下では、エアコンの効果を最大限に引き出す方法をご紹介します。
エアコンの風向きを下にする
エアコンの風向きを下に設定することで、温かい空気が床を伝わり部屋全体に広がりやすくなります。温かい空気は自然に上昇するため、下向きに風を送ることで部屋の隅々まで均等に暖かい空気が行き渡り、より一層の暖かさを感じることができるでしょう。この設定は、特に広い部屋や高い天井を持つ部屋でその効果を発揮します。

部屋の断熱性を上げる対策をする
部屋の断熱性を向上させることは、暖房効果を高める上で非常に重要です。窓やドアの隙間を密閉テープで塞ぐ、断熱カーテンを利用する、二重窓を設置するなど、熱が逃げるのを防ぐ方法は多岐にわたります。これらの対策を施すことで、外からの冷気の侵入を抑え、内部の温かい空気を逃がさずに済みます。結果として、エアコンの暖房をより少ないエネルギーで効果的に行うことが可能になり、快適な室内環境を維持できます。
サーキュレーターを使う
サーキュレーターを活用することで室内の空気を効果的に循環させ、エアコンの温かい空気を部屋全体に均等に分散させることができます。これにより、部屋のある一部分だけが温まるという問題を防ぎ、全体を均一に暖めることが可能になります。また、サーキュレーターの使用はエアコンへの負担を減らし、省エネルギーにも寄与します。

加湿する
冬場は室内が乾燥しがちですが、適度に加湿することで空気が温まりやすくなります。加湿器を使用するか、水を入れた容器をヒーターやラジエーターの近くに置くことで、室内の湿度を保つことができます。湿度が保たれた空間は、温かい空気が持続しやすく、快適な住環境を作り出すことができます。
暖房が急に止まる原因 「霜取り運転」以外で考えられるのは?
エアコンの暖房が予期せずに停止する場合、霜取り運転以外にもいくつかの原因が考えられます。
設定温度に達したから
エアコンは設定温度に部屋の温度が達すると自動的に運転を停止します。これはエアコンが効率良く機能している証拠であり、無駄なエネルギー消費を防ぐための重要な機能です。もし部屋が冷たく感じる場合は、設定温度を少し上げてみると良いでしょう。
お掃除運転中
多くの最新エアコンには「お掃除機能」と呼ばれる特別な機能が搭載されています。この機能は、エアコンの内部を自動でクリーニングすることで、エアコンの効率を維持し、清潔な空気を室内に供給し続けることを目的としており、これが作動すると、エアコンは内部のフィルターや熱交換器に蓄積されたホコリや汚れを除去します。
お掃除機能は通常、エアコンの使用が少ない時間帯や設定したタイミングで自動的に行われます。お掃除機能が作動している間は、エアコンの暖房や冷房が一時的に停止されることがありますが、これはエアコンが内部を清掃しているためであり、故障ではありません。お掃除が完了すれば、エアコンは通常通りの運転を再開します。

エアコンが故障している可能性も…
上記の理由で説明がつかない場合、エアコン自体が何らかの理由で故障している可能性があります。この場合は、プロの技術者による診断と修理が必要です。早めに専門家に相談し、必要な措置を講じることが重要です。
暖房がいちいち止まる原因は?エアコンの霜取り運転への対策まとめ
この記事では、エアコンの暖房が頻繁に停止する原因として、霜取り運転の役割及びその他の潜在的な原因を詳しく解説しました。適切な対策を講じることで、エアコンをより効率良く、快適に使用することが可能です。部屋を効率良く暖めるための方法を実践し、寒い冬も快適に過ごしましょう。適切なエアコンの管理と使用が、冬の快適な生活を支える鍵となります。